お試し商品から定期購入へつなげる具体的なシナリオ設計方法

お試し商品を販売し定期購入につなげる手法は、単品通販で王道とも呼べる施策です。
しかし、お試し商品を販売しても、
「お試し商品は売れるけれども、次の注文につながらない」
「なんどもリピートはしてくれるけれども、定期購入にはつながらない」
「定期購入につなげるために、お客様へどのようにアプローチして良いかがわからない」
このように思うことはないでしょうか?
そこで本記事では、実際にLOYCUSを活用している、化粧品業界A社の事例を紹介します。
A社では上記のような課題に対してLOYCUSを活用し、定期購入の申込数を大幅に増やしました。
A社がどのようにLOYCUSを活用しているか、具体例を交えて解説します。
なお、化粧品業界ではなくとも、シナリオ設計の考え方はどの業界にも当てはまるので、
ぜひ参考にしてください。
お試し商品だけが売れていたA社の状況

化粧水や乳液などの基礎化粧品を販売するA社は、創業90年を迎える老舗です。
創業当初は漢方薬などの薬を扱っていましたが、事業を拡大するために化粧品の開発に着手。
今では中心事業になっています。
基礎化粧品をネットで販売するようになったのは2010年から。
お客様にきめ細やかな対応をするために、自社サイトだけを運営しています。
しかし、自社サイトを立ち上げた当初は、集客に苦戦していました。
そこで考えたのが、お試し商品の販売でした。
お試し商品を買いやすい価格帯で設定し、送料は無料に設定。
新しいお客様にA社を知ってもらうきっかけになればと思い、販売を開始しました。
幸いにして口コミが広がり、徐々にお試し商品の売上は伸びていきました。
しかし、
- お試し商品だけでその後の定期購入につながらない
- お試し商品の単価が低いため、客単価と売上が下がってしまった
- 何度もお試し商品を買うお客様への対応ができていない
このように、お試し商品が売れたが故に、新しい課題にぶつかったのです。
そこでA社では、抜本的な対策を取ることにしました。
A社におけるLOYCUSの活用事例

A社は以下のようなステップで課題解決に取り組みました。
課題:お試し商品から、通常商品や定期購入に申し込むお客様の数を増やすこと
ステップ
- カスタマージャーニーマップの作成
- お試し商品の再設計
- 通常商品や定期商品への送客方法の見直し
- お客様のセグメント分け
- シナリオの設計と配信
まずはカスタマージャーニーマップを作成して全体像を把握した上で、
細かな対策をとっていくことにしました。
そして、LOYCUSは導入していたものの、これまでは一斉配信だけの利用だけに止まっていたため、
活用方法を見直したのです。
それでは、A社の取り組みを順番に見ていきましょう。
1. カスタマージャーニーマップの作成

まずA社は現状分析から実施すべく、カスタマージャーニーマップを作成しました。
カスタマージャーニーマップとは、お客様が商品と接点をもち、購買に至るプロセスを可視化したものです。
A社が作成したカスタマージャーニーマップは以下の通りです。
初めてお試し商品を買ったお客様が、定期購入を申し込むまでの流れをまとめました。
ステージ | 1.購入 | 2.利用 | 3.再認知 | 4.情報収集 | 5.比較検討 | 6.再購入 |
タッチポイント | メール・LINE | 外装箱・同梱物・メール | メール・LINE・同梱物 | LINEコンテンツ・口コミ | LINEコンテンツ・Webページ | Webページ |
行動 | 配達日時の確認 | 商品を利用する | フォローメールを読む・レビューを書く | LINEコンテンツを読む | 他社を調べる | 定期購入をする |
感情 | 届くのが楽しみ | 期待以上でうれしい | 素敵お店だね | 定期で買った方がお得なのね | 失敗したくない | 良いものが買えて安心 |
思考 | ちゃんと注文できたかな | 注文してよかった | 時間があったらコンテンツを読んでみるか | コンテンツが面白いから読んでみよう | 他の商品とどっちがいいかな | 間違いない商品が買えた |
課題 | 不安払拭要素を伝える | 外装箱のデザイン、同梱物の内容 | レビューの促し方 | コンテンツの内容と頻度 | コンテンツの内容と頻度 | 申し込み専用LP作成 |
カスタマージャーニーマップを作成して把握できた課題は5つ。
- ステップ2の利用時に読んでいただく同梱物の情報量が少ない
- ステップ3の再認知において必要なフォローメールを送っていない
- ステップ4の情報収集において、必要な情報をLINEで配信できていない
- ステップ5の比較検討において、定期購入の申し込みに至らないお客様へアプローチができていない
- ステップ6の再購入において、定期購入の専用ランディングページがない
総じて言えることは、お客様がお試し商品を利用した後に、定期購入に結びつけるためのアプローチが不足していたことです。
理由は、A社はお試し商品を販売さえすれば、お客様が商品の良さを実感でき、自然に定期購入につながるだろうと考えていたのです。
実際に、商品の品質に自信があり、お客様の口コミで少しずつお客様が増えてきた実績がありました。しかし、改めてお客様へのアプローチ方法を考えると共に、お試し商品自体を見直すことにしたのです。
2. お試し商品の再設計

A社が販売するお試し商品は、化粧水などの基礎化粧品を7種類詰め合わせたセット。
お客様に満足していただこうと考え、通常品とまったく同じ商品を入れたものでした。
販売価格は通常商品よりも安く販売しているため、ほぼ利益は出ない設計。
一方で、お客様からの口コミやレビュー点数は高く、好評でした。
しかし、口コミの内容はA社が期待するものとは違っていたのです。
「通常の商品がお買い得に買えました。まるで福袋みたいです」
「7種類も入って送料無料なので、お試し感覚で気軽に使えます」
「たくさん入っているので、家族で使えます」
このようにお買い得に購入できたことを喜ぶ声ばかりで、お肌が改善した実感を示す口コミは少ないのが実情でした。
そこでA社では、お試し商品のリニューアルに着手。
お試し商品を手にとっていただいたお客様に対して、
- どのようなことを伝えたいのか
- どのような実感をしていただきたいのか
- どのような印象を持っていただきたいのか
これらをトコトン考え、商品内容やパッケージ、同梱物を見直しました。
A社が出した結論は、お試し商品を購入していただいたお客様に対して、
- 本当にお肌に良いものだけで作られた基礎化粧品であること
- 昨日とは違う肌になることを実感していただくこと
- 使い続ければ、肌は変われることを知っていただくこと
この3つをお客様に伝えるために、お試し商品を販売しようと決めたのです。
そのために、
- 基礎化粧品の中で、もっとも自信のある5種類を選定
- 商品の成分や製法を丁寧に解説
- 内容量は、効果の実感を得られる5日分のみの少量に変更
- パッケージは使いやすく、エコに留意した素材に変更
- 同梱物でお客様にA社の想いを伝えつつ、他商品をご案内
このようにお試し商品をリニューアルしたのです。
3. 通常商品や定期商品への送客方法の見直し

次にA社が取り組んだのは、通常商品や定期商品への送客方法の見直しでした。
お客様の状況として、
- お試し商品を使い出して4日目で残り1日のみ
- お肌がよくなってきていると、効果を実感できている
- 通常商品を買うべきかどうか、悩んでいる
このようなお客様に対して、どのようにサポートすべきかをA社内で話し合いました。
カスタマージャーニーマップを広げ、改めてお客様の感情と思考を記載し、アプローチ方法を考えたのです。
A社は以下のような施策を実施しました。
- お試し商品を使っていただいたお礼をメールやLINEで行う
- お肌のお悩み別に、最適な通常商品を提示する
- お試し商品の5種類すべてを買う必要がないことを伝える
- 通常商品を使い始めて、3ヶ月ほどでさらに効果を実感できることを伝える
- 定期購入はいつでも解約ができることを伝える
- 通常商品と定期商品の違いを伝える
- お試し商品の購入者限定で、5日間だけ割引を行う
お客様に対して誠実であること。
A社は改めて商売の原点に立ち返り、本当にお客様の課題を解決するために、
通常商品や定期商品を案内しようと決めたのです。
4. お客様のセグメント分け

A社はお試し商品を購入したお客様を、より細分化することにしました。
セグメント分けの基準として、お試し商品を購入後に送付したコンテンツに対する反応を調べたのです。
- メールやラインを開封(読了)したか
- LINEで案内したリンク先に遷移したか
- 通常商品や定期商品を購入したか
その結果、お客様を下記のように4つに区分しました。
セグメント/アクション | 開封・読了 | クリック | 購入 |
離脱客 | × | × | × |
様子見客 | ◯ | × | × |
見込み客 | ◯ | ◯ | × |
購入客 | ◯ | ◯ | ◯ |
それぞれにシナリオを作成し、アプローチをすることにしたのです。
5. シナリオ設計

ゴールはお試し商品を購入したお客様に、通常商品や定期商品を買っていただくこと。
そのためのアクションを促すシナリオを描いていきました。
1. 離脱客へのシナリオ
メールやLINEを送っても反応がないお客様を離脱客と設定しました。
お試し商品を購入後、次のアクションにつながっていないため、アプローチ方法を見直しました。
具体的には、ハガキの送付を実施。お客様とタッチポイントを増やすことで、反応が見られるかを検証したのです。
A社では、お試し商品だけを買って通常商品を買わないお客様には、アプローチを諦めるべきとの声がありました。
しかし、もしかするとお試し商品がお肌に合わず、A社からのメールやLINEに対しても返答をしなかったのではと考えたのです。
お客様へ送付したハガキの内容は、下記の項目を記載しました。
- お試し商品を買っていただいたことへのお礼
- お試し商品に不具合がなかったかの確認
- 商品やお肌トラブルの問い合わせ先
- よくあるお肌の悩みの紹介リンク
二次元バーコードに記載したLINEのリンク先には、LOYCUSのコンバージョンタグを設定。効果測定が実施できるようにしました。
その結果、ハガキからLINEに流れるお客様が確認できました。
ハガキを読んだお客様が、より詳しい情報を得るためにLINEのコンテンツを読んでくれるようになったのです。
2. 様子見客へのシナリオ
お試し商品を購入後、メールやLINEのコンテンツは読むものの、リンク先に飛ばないお客様を【様子見客】と設定しました。
リンク先を訪れてもらえなければ、設計したシナリオを開始できません。
そこで、リンク先に飛ばない理由を洗い出したのです。
考えられる理由は、
- 配信内容に興味をそそられない
- リッチメニューに魅力がない
- 配信の頻度と時間帯が悪い
これらを1つずつ解決していきました。
改善前の配信内容は、
- お試し商品を買っていただいたことへのお礼
- 通常商品やお試し商品の価格と機能を説明
- 申し込みページのリンク先を記載
いわば、お礼と同時に次の商品を売り込んでいたのです。
お客様が申し込みを希望しない限り、リンク先をクリックする必要がなかったのです。
そこで、配信内容を以下のように変更しました。
- お肌の変化に対する気遣い
- 無料でできる肌診断の案内
- お肌のお悩み、トラブル相談
- 多くの人が間違う化粧水の使い方
お客様の感情や思考として、お試し商品を使ってお肌の変化を実感している。
しかし、商品を買って継続すべきかどうか、迷っている状態です。
そこでA社は、お客様に気軽にコンテンツを読んでもらい、親しみを抱いてもらうことに注力をしました。
肌の状況をアンケート形式で回答し、解決策を提示するコンテンツを作成。
LOYCUSのカルーセルメッセージ機能を活用し、リンク先に飛ぶのではなく、
アンケートに答える形で操作してもらうようにしたのです。
また、LINEのリッチメニューも同様に変更。
商品の購入に直接飛べるリンクは残しつつも、メインはお客様の問題解決と不安払拭になるコンテンツを充実させました。
合わせて、LINEの配信頻度と時間の見直しにも着手。
これまでは漫然と同じ時間に配信をしていましたが、休日の夜に変更し、ゆっくりと読んでいただける時間帯に配信するようにしたのです。
3. 見込み客へのシナリオ
メールやLINEのコンテンツを読み、リンクをクリックしているものの、購入には至っていないお客様を【見込み客】と設定しました。
見込み客に対しては、申し込みに対する不安を取り払うコンテンツを配信しました。
たとえば、
- 返品やキャンセルができることの告知
- よく問い合わせをいただく質問と回答を紹介
- 通常商品を使っているお客様の声を紹介
- 商品の使用前後のお肌を比較した画像を紹介
- 今だけ使える限定クーポン券の配信
不安を払拭し、お客様の背中を押してあげるコンテンツを増やしたのです。
また、定期商品に関しては専用のランディングページを作成。
お客様の立場になりきることを意識し、
- お試し商品を購入したきっかけを思い出させる
- 初めてお試し商品を使った時の実感
- 多くのお客様の声
- 基礎化粧品ができるまでの過程
- 老舗としての実績
- 返金や返品の保証
このようなコンテンツを盛り込み、申し込みにつなげたのです。
4. 購入客へのシナリオ
メールやLINEの購読をし、通常商品や定期商品を申し込んだお客様を購入客と設定。購入客には継続的な購入をしていただくための工夫を行いました。
具体的には、
- 継続して1ヶ月おきに定期的なセルフチェック
- 無料のお肌診断
- お肌の改善に実感が湧かない時の対応
このように、継続的に商品を利用してもらうためのコンテンツを用意したのです。
まとめ

本記事では、実際にLOYCUSを活用している化粧品業界A社の事例を紹介しました。
通常商品や定期購入までの申し込みを増やすために、どのような取り組みを行ったのか、ご理解いただけたはずです。
セグメント別の配信やシナリオ設計が簡単にできるのがLOYCUSの特徴です。一方で、どのようにシナリオを設計すれば効果的なのか、悩んでしまうことが多いはずです。
今回ご紹介したA社の事例が参考になれば幸いです。