優良顧客(高LTV)が増えるだけで満足してしまっていませんか?
顧客セグメントの中には優良顧客の上に「ロイヤルカスタマー」が存在します。
- 優良顧客とロイヤルカスタマーの区別がついていない
- ファンとロイヤルカスタマーの区別がついていない
- ロイヤルカスタマーを増やす中長期的な戦略をとっていない
もし1つでも当てはまった場合、ロイヤルカスタマーを増やす施策を実践しましょう。
口コミによる新規集客やLTVの向上等に大きな効果が期待できます。
ロイヤルカスタマーは通常の優良顧客と異なり、
- 商品やサービスへの忠誠心が高い
- 商品やサービスを好意的に発信してくれるので、コスト0でプロモーションができる
- 知人や友人などへ商品を推奨や紹介をしたいと考えている
などの特徴があるからです。
最初の問いに1つでも当てはまった方は、ぜひ最後までご覧ください。
本記事の内容
そもそもロイヤルカスタマーとは?
ロイヤルカスタマーとは、下記のような顧客を示します。
- 継続的に商品を利用している
- 企業や商品に対して良い印象や愛着を抱いている
- 知人や友人などへ商品を推奨や紹介をしたいと考えている
このように、企業や商品に高い愛着を持ち、継続的に商品やサービスを利用しているお客様がロイヤルカスタマーと言えるでしょう。
一方で、単に商品の購入単価が高いお客様や、購入頻度が高いお客様はロイヤルカスタマーではなく、優良顧客と言えます。
そのため、継続的に定期購入を利用している優良顧客であったとしても、
- 単にキャンペーン中だったから申し込んだ
- 他店で買うよりも安かったので継続している
- 他社に変更するのが手間なので継続している
上記のような理由で商品やサービスを継続している場合は、商品に愛着がなく、知人や友人に商品を知らせようとはしないはずです。そのため、ロイヤルカスタマーとは言えないでしょう。
優良顧客をロイヤルカスタマーに導く3つのステップ
定期的に商品を利用している優良顧客に対して商品に愛着を持ってもらう方法3ステップに分けてします。
- .優良顧客とロイヤルカスタマーを区別する
- タッチポイントを改善する
- 顧客ロイヤルティを醸成する
順番に見ていきましょう。
優良顧客とロイヤルカスタマーを区別する
まずはお客様を優良顧客とロイヤルカスタマーに区別します。
進め方は以下の手順です。
- お客様が抱く商品の愛着度合い測定する(NPSの測定)
- お客様のLTVを測定する
- NPSとLTVを掛け合わせて表にする
NPSやLTVなどの英語表記時は後に丁寧に解説しますので、一緒に確認していきましょう。
1. お客様が抱く商品の愛着度合い測定する(NPSの測定)
優良顧客とロイヤルカスタマーを区別する時に用いられる指標が、NPS(ネットプロモータースコア)です。
NPSとは、Net Promoter Scoreの略語であり、お客様が抱く企業や商品に対する愛着や信頼度を測る指標です。
調査方法は、定期購入を利用しているお客様にアンケートを実施します。
たとえば、膝の痛みを緩和するAというサプリメント(機能性表示食品)を販売している会社があった場合は、以下のようになります。
質問1のアンケート結果より、お客様を下記に分類します。
- 0〜6点をつけたお客様=批判者
- 7〜8点をつけたお客様=中立者
- 9〜10点をつけたお客様=推奨者
推奨者がロイヤルカスタマーになりえるお客様となります。
また、推薦者の割合から批判者の割合を引いた値が、自社のNPSとなります。
その上で、批判者や中立者に該当するお客様に対して、どのように満足度を高めるべきかを考えましょう。
2. お客様のLTVを測定する
次に定期購入者のLTVを測定します。
LTVとは、Life Time Valueの略語であり、顧客生涯価値を意味します。
少しわかりにくいですよね…
平たく言い換えると、1人のお客様が自社の商品を買い始めてから、買わなくなるまでの期間で、どれだけ利益をもたらすかを計算したものです。
なお、LTVは下記の計算式で算出できます。
具体的に、先ほどのサプリメント会社の例で示してみましょう。
条件は以下で設定します。
- サプリメントの商品単価は1袋3000円
- 荒利率は60%
- 毎月届く12ヶ月コースを利用
- 定期購入の利用期間は3年間利用
- 定期購入の申し込みを促進する広告費で1人あたり1万円
- 定期購入の維持費用として人件費などで1人あたり4万円
LYVの計算式に当てはめると、
となり、サプリメント会社における1人のお客様から得られるLTVは14,800円となります。
お客様によって各数値が異なるため、本来であれば個別にLTVを算出できると良いでしょう。
もしくは、大枠を把握するために、お客様を商品軸や購入頻度などでセグメントし、LTVを算出しても良いでしょう。
3.NPSとLTVを掛け合わせて表にする
算出したNPS( 商品への愛着や信頼度 )とLTV( 取引期間中の利益額)を掛け合わせることで、ロイヤルカスタマーが見えてきます。
横軸にNPS、縦軸にLTVをおき、6つのマトリクスを作成しましょう。
LTV / NPS | 批判者 | 中立者 | 推薦者 |
高LTV | 離脱候補者 | ロイヤルカスタマー候補者 | ロイヤルカスタマー |
低LTV | 非協力者 | 一般顧客 | 広報担当者(ファン) |
NPSを測定する際にとったアンケートで、9〜10点をつけたお客様を推奨者と表現します。
合わせて、LTVが高いお客様で交わった顧客がロイヤルカスタマーとなります。
一方で、NPSは高くても、LTVが低いお客様はロイヤルカスタマーではなく、ロイヤルカスタマー候補者や離脱候補者に分類されます。
それでは、どのような方法で「ロイヤルカスタマー候補者」をロイヤルカスタマーに育成すればよいのでしょうか。
タッチポイントを洗い出し改善する
お客様にとって商品への愛情や信頼を感じられるタッチポイントを洗い出し、改善しましょう。
これが、優良顧客をロイヤルカスタマーに導くための方法です。
タッチポイントとは、企業と顧客が接する機会を指します。
広告による商品のPRや人を通じた接客、メールやLINEでのアプローチなども全てタッチポイントに含まれるため、商品とお客様が接するタッチポイントは数多く存在します。
そのため、どのタッチポイントが商品への愛情や信頼を高めるきっかけとなるのかを把握するために、
NPSを測定したアンケートにもう1問を加えてみましょう。
具体的には以下のようになります。
- インターネットでの広告
- お客様の口コミ
- 商品を掲載しているホームページ
- 商品の説明
- 商品の申し込み方法
- 商品購入後のメール
などなど
質問1はお客様を3つの区分に分類する質問。
質問2が、点数を付ける際に影響を与えるタッチポイントを調査するものです。
- お客様が商品を認知し、購入及び利用するまでのタッチポイントにおいて、それぞれの印象を点数化してもらう
- プラスの影響を与えたタッチポイントの理由を探り、マイナスの印象をもたらしたタッチポイントの改善につなげる
たとえば、タッチポイントの中で「商品購入後のメール」についてマイナスの影響を与えると回答したお客様が多い場合、どのような理由があるでしょうか?
商品購入後のメールにおいて、
- 商品を買ったのにメールがこない
- メールの内容が機械的で印象が悪い
- メールの内容がセールスばかり
このような課題があるかもしれません。
そこで、
- 購入タイミングに応じたステップメールを組んでおく
- お客様の購入履歴に応じた内容に変更する
- セールス以外のお役立ち情報を盛り込み、興味を持ってもらうメールにする
上記のような対策を取ることで、お客様に喜ばれるメールになるでしょう。
顧客ロイヤルティを醸成する
顧客ロイヤルティとは、商品やブランド、企業に対する忠誠心や強い愛情を意味します。
顧客ロイヤルティが高まれば、商品やブランドがお客様にとって特別な存在であると認知され、口コミによる宣伝や継続的な利用につながります。
たとえば、顧客ロイヤルティを高めるために、下記のような施策を行うと良いでしょう。
- 記念日ごとにメールやLINEのメッセージが届く
- 購入金額や利用頻度に応じた会員ランクの付与
- 会員ランクごとに特典の付与
- 会員限定のイベントへの招待
- 新商品や先行販売の案内
- 関係者しか見られない場所への招待
注意すべき点は、ポイントや値引きなどにこだわらず、会員だからこそ体験できる場面を用意することです。
定期的になんども購入しているお客様は、値引きだけを求めている訳ではありません。
もちろんお得に買えることはうれしいはずです。
たとえば、ある新商品を開発しているとして、
- 開発中の新商品をお客様に送付し、モニターとしてご意見をいただく
- 企画会議の様子をZoomで配信する
- 新商品の発表会に裏方として有料ボランティアで参加してもらう
このように、企業とお客様の信頼関係があるからこそ、プロセスをお客様に開示します。
商品開発のプロセスに参加していただくことで、より強い結びつきを感じてもらえるようになるでしょう。
お客様にとっては、「自分が育てた商品」と思わず友人に口コミで伝えたくなるはずです。
単に値引きや特典だけにこだわらず、どうやったらお客様が「ワクワク」してくれるのか。
そして、商品を好きになってもらえるかを考え、実践してみましょう。
まとめ
本記事ではロイヤルカスタマーの説明に加え、抽出方法について解説しました。
その上で、ロイヤルカスタマーを育成するために、タッチポイントの改善と顧客ロイヤルティを高める方法についてお伝えしました。
このように、企業にとってのメリットが非常に高いお客様です。
1人1人のお客様に向き合い、地道にタッチポイントを改善し、ロイヤルカスタマーを育成していきましょう。
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