ゴールから考えよう!CRM成功の秘訣を事例を交えて解説

ロイヤル顧客育成

「CRMプロジェクトを成功させるのは難しいな。」
「CRMを導入しても現場がついてきてくれない。」

このようにお悩みではありませんか?

CRMの導入は、業務変革を促すケースが多いもの。
一方、現場がうまく活用してくれないと効果はあがりにくいでしょう。

実は、CRMの導入を成功させるには、ゴールからブレイクダウンして推進していく必要があるのです。

本記事では、そんなCRMを成功させる秘訣を、ゴール設定からプロジェクト体制、運用ルールまでを実際の事例も踏まえて解説します。
この記事を読むことで、CRMはどう導入すべきかのポイントがわかるでしょう。

 

CRMプロジェクトを成功させるにはゴールから考えよう

CRM導入を成功させるには、ゴールを明確化しなければいけません。

なぜなら、CRM導入は顧客情報の活用を促進することで売上向上につながる一方で、現場の負担が大きく定着化させるのは難しいからです。

定着化が難しいということは、現場に対してなぜ導入するのかを理解してもらい、負担が最小になるように導入しなくてはいけません。

そのためには、ゴール設定から考えるのが不可欠なのです。
具体的に考えてみましょう。

ゴール設定が明確でない場合
  • 顧客情報を収集する際に、どんな情報をCRMに残し、どんな情報は残さなくてもいいかを決められない。
  • RMの導入が目的となってしまい、既存の業務を残したまま、CRMへの入力も業務として追加してしまうことがある。<例>日報を残したままCRMへの入力もする。

 

こうした問題は、何かを業務に足すなら、引き算をする意識を持つ必要があるのですが、ゴールが明確でなければ、何を引いたらいいかわからないというわけです。

それでは、ゴール設定はどのように行ったらいいか、具体的に確認しましょう。

ゴール設定のポイント

ゴールを決めるにあたっては、本気度を高めるためにも自社で独自に決めていくことが大切です。

 

そのうえで、以下のようなポイントを意識することで、より最適なゴールが設定できるでしょう。

ポイント
  1. 売上拡大を考えた時の各部門における課題をヒアリングする
  2. 売上拡大を考えた時の各部門における他部門連携に関する課題をヒアリング
  3. 1・2の意見を元に、全ての課題が解決する理想のCRM活用パターンを検討する
  4. 経営的な数字目標を加え、効果創出のタイムスケジュールを出す
  5. 現場への説明を行い、共感が得られるまで修正する

 

使える時間がどの程度あるかにもよりますが、以上のプロセスでゴール設定を行って、現場も思い入れをもつ内容にすれば、定着化を進める際の推進力になります。

KPIを設定をする

具体的にKPIまで落とし込むことで、PDCAを回しやすく、プロジェクトの軌道修正も容易になります。

KPI設定は、ゴールまでの通過点で、短期的・中期的な目標を設定します。

KPIは具体的に数字で目標においておいてください。

例えば、売上を15%増加、カスタマーサービスで満足度を80%以上に、もしくは、最初はCRMへの入力数やログイン率も目標においておくべきです。

それにより、数字で改善点を確認しアクションができるわけです。

具体的には、ログイン率が低いなら役員からプッシュしてもらう、CRMで見れる情報を増やすなどの工夫ができる点でしょう。

このように、PDCAをまわしながらプロジェクト推進ができるようKPIを明確に設定するといいのです。

 

プロジェクト体制を工夫する

CRM導入を成功させるには現場も巻き込んだプロジェクト体制を確立することが大切です。

 

具体的には、以下のようなメンバーを入れておくといいでしょう。

  • プロジェクトオーナー
  • プロジェクトリーダー
  • プロジェクト担当者
  • 現場の推進者
  • IT管理者

中でも、現場の推進者を導入先の部門から巻き込んでおくことで、現場へのフォローをしやすい形でプロジェクト推進ができるのです。

また、プロジェクトオーナーに経営層から立ってもらい、社内に影響力があるように工夫することも大切です。

偉い人の参画は効果が大きいものです。

 

運用ルールを明確化する

CRMプロジェクト推進にあたって、運用ルールを明確にすることも重要です。

【例】営業のルールを設定を考えてみましょう。

以下のような運用ルールを設定するとします。

  • 毎回の顧客との打ち合わせ後はポイントをまとめてCRMへ入力すること
  • 営業は入力漏れを金曜AMまでに入力
  • 金曜PMに営業マネージャーがマージして経営層へ報告
  • 月曜のマネージャーMTGで営業成績をCRM画面で確認

このように運用ルールを決めれば、CRMの入力は営業自身の成績に大きく影響します。
自身の評価を下げないためにも、全員が一生懸命入力することになるわけです。

運用ルールの策定が定着化に重要なことがご理解いただけたでしょう。
それでは、ここまでのポイントを踏まえて、ゴール設定からCRMの検討を進めた具体例をみていきます。

ゴールから逆算してCRM導入を成功させた事例:荏原製作所

荏原製作所では、事業拡大をするたびに営業が総合窓口となって様々な業務を引き受けてきました。

また、各部門との連携はアナログな手法となっており、部門をまたぐ情報共有が非効率となっていました。

さらにはカスタマーサービスやマーケティングの業務も全てアナログです。

そこで、全社へのCRM活用による業務改革をビジョンとして掲げつつ、まずは営業プロセス全体の業務改革というゴールを設定しCRMの導入を決断しています。

荏原製作所は、ゴール設定をすることに加え、プロジェクトオーナーに野路専務が入ったことでわずか3ヶ月でCRMの利用を開始したのです。

それでは、具体的な事例のポイントをみていきましょう。

荏原製作所が抱えていた課題

荏原製作所で特に営業部門における課題は、生産性の低さです。

営業の日中の時間の大半が、伝票処理や社内の部門連携、パートナー企業との調整に使われており、お客様へ向き合える時間はわずか1日で1時間程度だったのです。

営業がお客様にアプローチしていけないことで、新規のお客様を獲得したり、競合に勝つために創意工夫をこらすということができず、売上向上の阻害要因となっていました。

荏原製作所はどのようにゴール設定をしたか?

荏原製作所では、最初のゴールを「営業改革の実現」に設定しました。

具体的には、営業メンバーは終日、お客様に向かう活動ができるようようにするという目標設定をしています。

この実現のために、業務を徹底的にCRMでデジタル化・不要な事務処理を廃止したうえで、営業における事務処理を集中的におこなう「営業事務」の部門をつくり、営業のメンバーから移ってもらうことに。

こうした分業体制をとることで、CRMの活用シーンが明確に分けられて運用ルールの設定も容易にできたといいます。

それだけではなく、営業と接点のあるマーケティング部門やカスタマーサービス部門もCRMの活用を開始し、情報共有の効率化をCRMで実現する方針をとっています。

その上で、営業の売上などのKPIもそれを機に大きく見直され、CRMで確認していく体制に変更されています。

このようにダイナミックな変革を進める方針を取れたのは、以下のようなポイントを全社で問題意識をもって取り組んだ結果といえます。

  • 専務を筆頭にした強力なプロジェクト体制
  • 明確なゴールとKPI設定
  • 分業体制を取り明確な運用ルールを設定

荏原製作所がCRMで実現した成果

荏原製作所では以下のような成果を創出しています。

  • 営業事務の多くの業務を自動化するという目標を達成
  • マーケティングやカスタマーサービスもCRMと営業の情報連携を効率化
  • わずか3ヶ月でのスピーディな営業改革を実現

 

荏原製作所様のダイナミックな事例は、ゴールを設定した上で進めたことが成功のポイントといえます。

 

なぜなら、荏原製作所の以前の営業プロセスは、他部門と複雑にからんでいて、営業だけでとりあえず導入しても業務効率化できる部分に限界があったからです。

場合によっては、営業の業務にCRM入力が増えて、現場を疲弊させることになってしまったかもしれません。

その反面、ゴールを設定して全社的な取り組みとして営業プロセスを見直していくことができたため、荏原製作所ではこれほどの成果があがっているわけです。

出典:Salesforce 事例

 

まとめ:CRM導入はゴール設定から考えよう

今回ご紹介したように、CRM導入の際には、ゴールを明確にすることで自社にとって最適な活用方法がみえてきます。

最適な状態がわかれば、削るべき業務も正しく判断でき、現場にも納得感があるCRM導入ができるでしょう。

さらに、KPI設定やプロジェクト体制の確立、運用ルール策定ができれば、成功率はさらに高まります。

そのため、CRMで成果を出していきたいとお考えであれば、 まずはゴールを社内で作り上げていきましょう。

この記事を書いた人

佐藤たかゆき

10年以上ITの営業をし、現在はwebライターとして活動中です。IT業界では、ITインフラからクラウドまで幅広く取扱い、CRMベンダーにも4年間所属。webライターとしては、IT専門で100本以上の記事を納品してきました。実体験も踏まえた読み応えのある記事をお届けできたら幸いです!

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